3時前

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iPodが初めて世の中に出て来た時、大きな衝撃を受けたことを覚えてる。すぐにでも飛びつきたかったけど、お金がなかったのでようやく買えたのは第3世代の15GB。自分がもっているCDすべてをこの小さな機械の中にいれて、いつでもどこでも好きなときに聴きたい音楽を聴く事ができる、夢のような道具だった。ドックにさしたiPodはステレオに接続。家に帰るとテレビをつけずに音楽を聴くようになった。全部のアルバム、全部の曲のを対象にシャッフルして聴くのがお気に入りだった。この曲のあとにこれを持ってくるのか!分かってるじゃん、iPod!なんて変な感心をしたりして。そのうちCDプレイヤーは不要になった。大きなステレオがうっとおしく思え、思い切って廃棄した。iPodは小さなスピーカーに接続した。それで十分だった。

しばらく使っていると15GBでは足らなくなった。操作性のちょっとした悪さにもイライラしてきたこともあって、次第にiPod nanoをメインで使うようになった。家で音楽を聴く時間が減って行った。音楽はもっぱら外で聴くものになっていた。

初代iPadが発表されるとすぐに飛びついた。ドックにiPadを設置してスピーカーを接続。iPodの時と同じスタイルに戻った。それでも音楽を家で聴く時間は戻らなかった。少々増えただけ。iPadは音楽を聴くためのものではなく、パソコンの代わりだった。外で聴くこともいつの間にかなくなり、音楽からは離れていた。

ある日、iPod Classicの発売が終了したという知らせを聞いた。ああ、しまった、と思った。なぜだろう。突然なくなるなんてことを思いもしなかった。会社帰りに量販店を数件ハシゴした。どこにもiPod Classicは売ってなかった。

そうしてまた少しの時間がたったある日、思いがけないところでiPod Classicを譲ってもらえることになった。80GBの容量をもつiPodの電源を入れると、今となっては解像度の低い、ちょっと時代を感じさせる液晶の画面がすぐに現れた。ほとんど音楽を聴くための機能しかないようなこの機械は、万能で優秀なiPhoneよりも沢山のワクワクを久々に感じさせてくれた。

それからiPod Classicは常にドックに設置してスピーカーにつなげてある。テレビをつけずにiPodの電源を入れる生活に戻った。勿論、全アルバムの全曲をシャッフル再生にして。自宅にジュークボックスが帰って来た。好きな曲だけが沢山つまっている、ジュークボックスが。

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窓辺
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干す
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3時前
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春
雨の日のあと